【その六 】 あの日のハワイが、家族をつないでくれました。

あの日のハワイが、家族をつないでくれました。

父は、決して贅沢をする人ではありませんでした。

長年働き、ようやく迎えた定年退職。

「退職金は、自分へのご褒美や。」

そう言っていた父ですが、ある日突然、

「みんなでハワイへ行こう。」

と言い出したのです。

家族みんなが驚きました。

理由を聞くと、

「テレビで家族旅行の番組を見てな。

孫が『ハワイってええなぁ。』って言うたやろ。

あの顔が忘れられへんかった。」

そう照れくさそうに笑っていました。

その旅行は、家族にとって一生忘れられない思い出になりました。

青い海。

白い砂浜。

夕日を眺めながら笑い合った時間。

父は、

「また来ような。」

そう何度も言っていました。

でも、その約束は叶いませんでした。

旅行からほどなくして、父は静かに旅立ちました。

時は経ち、父の眠る田舎のお墓じまいを考えるようになってからも、


その後の供養だけは決められませんでした。

父をどこへ迎えればいいのか。

考えれば考えるほど、答えが見つかりませんでした。

そんなある日、ハワイへ留学している息子から電話がありました。

「お父さん。

粉骨って知ってる?」

「おじいちゃん、ハワイが大好きやったよね。

今度来る時、一緒にこの海へ連れてきてあげようよ。」

その一言で、心が軽くなりました。

急いで決めなくてもいい。

まずは父を身近に迎えよう。

そう思い、粉骨をお願いしました。

今は、小さな手元供養として父は私たちのそばにいます。

そして来年。

家族みんなでハワイへ行こうと思っています。

息子が暮らす街を歩き、

学生生活を少しのぞかせてもらって、

あの日と同じ海を眺めながら、

父へ「ありがとう」を伝えたい。

きっと父は、

孫が世界へ羽ばたく姿を、一番喜んでいると思います。

あの日のハワイ旅行は、

父から家族への最後の贈り物だったのかもしれません。

ご家族の供養物語を読んでみる方は

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この物語は、「お墓じまい後の物語」のオリジナル作品です。

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