あの日のハワイが、家族をつないでくれました。
父は、決して贅沢をする人ではありませんでした。
長年働き、ようやく迎えた定年退職。
「退職金は、自分へのご褒美や。」
そう言っていた父ですが、ある日突然、
「みんなでハワイへ行こう。」
と言い出したのです。
家族みんなが驚きました。
理由を聞くと、
「テレビで家族旅行の番組を見てな。
孫が『ハワイってええなぁ。』って言うたやろ。
あの顔が忘れられへんかった。」
そう照れくさそうに笑っていました。

その旅行は、家族にとって一生忘れられない思い出になりました。
青い海。
白い砂浜。
夕日を眺めながら笑い合った時間。
父は、
「また来ような。」
そう何度も言っていました。
でも、その約束は叶いませんでした。
旅行からほどなくして、父は静かに旅立ちました。
時は経ち、父の眠る田舎のお墓じまいを考えるようになってからも、
その後の供養だけは決められませんでした。
父をどこへ迎えればいいのか。
考えれば考えるほど、答えが見つかりませんでした。
そんなある日、ハワイへ留学している息子から電話がありました。
「お父さん。
粉骨って知ってる?」
「おじいちゃん、ハワイが大好きやったよね。
今度来る時、一緒にこの海へ連れてきてあげようよ。」
その一言で、心が軽くなりました。
急いで決めなくてもいい。
まずは父を身近に迎えよう。
そう思い、粉骨をお願いしました。
今は、小さな手元供養として父は私たちのそばにいます。
そして来年。
家族みんなでハワイへ行こうと思っています。
息子が暮らす街を歩き、
学生生活を少しのぞかせてもらって、
あの日と同じ海を眺めながら、
父へ「ありがとう」を伝えたい。
きっと父は、
孫が世界へ羽ばたく姿を、一番喜んでいると思います。
あの日のハワイ旅行は、
父から家族への最後の贈り物だったのかもしれません。
ご家族の供養物語を読んでみる方は

