【その三】 今年の夏も、みんなで線香花火。

今年の夏も、みんなで線香花火。

私が子どもの頃から、夏休みになると家族みんなで訪れる海辺のキャンプ場があります。

昼は海で泳ぎ、夕方にはバーベキュー。

夜になると、決まって線香花火。

父はいつも、

「最後は線香花火が一番や。」

そう言って、火玉が落ちるまで静かに眺めていました。

父が亡くなり、墓じまいを終えたあと、


一番悩んだのはその後の供養でした。

子どもたちに負担は残したくない。

でも、父をどこか遠くへ送ってしまうような気持ちにもなれませんでした。

そんな時に知ったのが、粉骨という方法でした。

そして、その先に海洋散骨という選択肢があることも。

「お父さんが一番好きだった海やな。」

兄がそう言うと、母も静かにうなずきました。

今年の夏も、家族みんなであのキャンプ場へ向かいます。

子どもたちは砂浜を走り回り、大人たちは昔話に花を咲かせる。

そして、父が大好きだった海へ、家族みんなで「ありがとう」を届けます。

夜になれば、今年も線香花火。

火玉がゆっくりと落ちるのを眺めながら、

「お父さん、また来たよ。」

誰かが小さくつぶやきます。

お墓はなくなりました。

でも、家族の夏は、これからも変わらず続いていきます。

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この物語は、「お墓じまい後の物語」のオリジナル作品です。

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