母がくれた、「作ってみたら」の一言。
私は母子家庭で育ちました。
決して裕福ではありませんでしたが、母はいつも笑っていました。
ある年の誕生日。
「たまには親孝行させて。」
そう言って、母を温泉旅行へ誘いました。
帰り道に立ち寄ったのが、焼き物で有名な町でした。
古い煙突。
大きな登り窯。
静かな路地に並ぶ器。
私はその景色に、
しばらく立ち尽くしてしまいました。
一つひとつ手で作られた器を眺めながら、
「やっぱりいい器は高いね。」
そうつぶやくと、
母は笑いながら言いました。

「Bちゃん、そんなに好きなら、自分で作ればいいやない。」
「昔から、工作だけは誰にも負けへんかったやろ。」
「あんたは、お母さんの自慢の子なんやから。」
その言葉が、なぜか心に残りました。
それから私は陶芸教室へ通い始めました。
土をこね、ろくろを回し、失敗を繰り返しながら、
少しずつ、自分だけの器を作るようになりました。
母はいつも完成した作品を眺めては、
「また上手になったね。」
と嬉しそうに笑ってくれました。
やがて母も亡くなり、墓じまいを迎える日が来ました。
その後の供養を考えていた時、粉骨という方法を知りました。
母を、これからも身近に感じられる。
そう思えたのです。
今、私には一つ夢があります。
いつか、自分の手で大きな花器を作ること。
その土の中に、ほんの少しだけ母を迎え、
庭に咲く季節の花を飾りたい。
きっと母は、
「あんた、ほんま器用になったね。」
そう笑ってくれる気がします。
母にもらった一言は、
今も私の手の中で、生き続けています。
ご家族の供養物語を読んでみる方は
